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June 20, 2004

鏡の中では左右逆になるのに上下逆にならないのはどうして?《紛らわしさ評点 8》

Kさんはもう立派な大人なんですが、最近になって子供のころに悩んでいたのと同じ謎に悩まされています。鏡はどうして左右逆に映るのに上下逆に映らないの? 子供のころも、これを考え出すと夜も十分眠れなくなって医者に連れて行かれたほどです。


街を歩いていると、いたるところに鏡があります。先日も靴屋、電気屋、服屋、飲食店なんかがたくさん入っているビルのエレベータを降りたところに鏡があったものだから、Kさんはその前に立ち、自分の両手を動かしたりしながら謎の追求に没頭してしまいました。


「何、あの人? おナルなのかしら?」

「キモいよねえ」

などと通りすがりの女性たちにヒソヒソささやかれても気がつきません。


ちょうど、鏡にはKさんから見て後方にある電気店のTVが映っていました。

野球の放送をしています。右ピッチャーのはずが左腕で投げているし、左バッターのはずが右打席に入っているように見えます。バットにボールが当たって内野に転がるやいなや、バッターは三塁ベースに向かって走っていきます。


ますます頭が変になりそうでした。普通にネクタイしてスーツ着ているKさんが、鏡の前でブツブツ言いながら鏡を覗き込んでいる様子を見て、回りの人もさすがに気になりだしたようです。Kさんはエレベータの降り口から3メートルほどのところに立っているのですが、人の流れはKさんの周囲半径2メートルに入ってきません。


やがて誰かが警備員を呼びました。


「すみません、ここで何をしてるのですか?」と警備員のSさん。

「教えてください。どうして鏡だと左右逆なのに上下は逆じゃないの?」とKさん。

「そんなこと知りませんよ。ここに立っておられると通行の邪魔になるので、そろそろ移動してもらえませんか?」

「あ、すみません」とKさんは我に返りました。が、まだ右と左が気になって仕方がない。「あのー、左右どちらに移動したらよいでしょうか?」

「どっちでもいいから、邪魔にならないところに移動してください」

「だから左右どっちだったら邪魔にならないですか? さらに、その左右は鏡の中の左右で言うと、左右どっちになりますか?」


警備員のSさんは絶句。こりゃちゃっと危ない奴かもしれないと思ったのでしょう。その印象を裏付けるかのように、Kさんは、突然思いついたように「あ、そうだ」と叫んで、床に横になりました。


「ねえ、警備員さん、見てください。こうして横たわると、右が上、左が下になっていますよね。僕の頭は左側にあるし、足は右側にある。ついに謎が解けたぞ」


それから10数分もの間、Kさんはうっとりとした表情で横たわっていましたが、警備員のSさんがやむをえず呼んだ救急隊員が到着して、横たわっている姿勢のままKさんをタンカに乗せて運んでいきました。


鏡の中の左右上下問題については、さまざまな説明がありますが、筆者に言わせると、異なる尺度が混在しているから、こんなふうに紛らわしいことになるのです。左右の基準は、一人一人の人間にあります。あなたが移動すれば、あなたにとっての右と左も変化します。だけどどんな姿勢をとっても、上と下の関係はあなたの体とは別のところにあります。上下は重力という絶対的基準に基づく尺度だからです。


さて、Kさんがタンカに乗せられて運び出されていくのを見ていた警備員のSさんは、小学校5年まで、自分の上履きのかかとの辺りに小さく「右」「左」と書いてあったことを思い出しました。さらに、3年前の事故のことも思い出しました。


「運転手さん、次の交差点、右です」

「はい」

「あ、右じゃなかった左です」

「えー?」

「というのは間違いでやっぱり右でした」


自分がそこまで話したのは思い出せますが、気がついたら病院のベッドの上でした。このように、左右は紛らわしいものです。左右の紛らわしさ、個人差もかなりありますが、評点8と評価しておきましょう。


【筆者あとがき】仕事で時間に追われているとは言え、こんなわけのわからん話でお茶を濁していていいのでしょうか? 「週刊ブログ王」二週連続で1位になってしまいました。さすがに穴を開けるわけにもいかないので、こんな話を苦し紛れに書いてしまった次第。でも、Sorry君を登場させるのは自重しておこう。

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2004 06 20 | 固定リンク

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» まぎらわしさ [用語解説 - なんでも評点から]
この世には、いろんなまぎらわしさが渦巻いていますが、「意図しないまぎらわしさ」と「意図的なまぎらわしさ」の二種類に大別できそうです。 「たとえば、ンとソ、0とO...」の記事で言うと、ソとンがまぎらわしい筆跡は、意図しないまぎらわしさになります。信用状をわざと >DPR-Japanさん 毎度どうも。逆説的な話はやっぱり面白いですね。 その実験と似たものををTVの民放でやってるのをこのあいだ目撃しました。順応はするのですが、今度普通の視野に戻るときにも順応が必要になるという、当ブログの筆者的に見ても非常に興味深い結果になっていました。 目や手足などの神経接続は頭の中で左右逆に交差してるので、そのゴーグルをかけてるときが「物理的に正しい」見え方だったりするのかもしれませんね。 たぶん被験者が順応するまで行動しにくかったのは、目と手足の同期が取りにくかったからじゃないかなあと思いました。手足や耳も逆に接続すれば、なんてことないのかも。 クルマのバックミラーだって本当は左右逆に映ってるんだけど、普通に認識できていますしね。 続きを読む

受信: Jul 4, 2004 11:41:50 PM

コメント

ベクトルの向きは、鏡面と垂直な方向のみが反転し、鏡面と平行な方向はすべて不変。実際は前後が逆転しているのに、頭の中で左右が逆と解釈し直しているんですね。

投稿者: 熊 (Jun 20, 2004 9:23:55 PM)

>熊さん

コメントありがとう。

純粋に物理的に考えると、そういうことですね。面対称な像が出来ているだけのことですから。

だけど人間の認識というのは、物理的な値に忠実でないことがしばしばですね。認知心理学とかの話にもなりそうですが、筆者はあまりよく知りません。

このネタは、もう少し深い話にしようとして取ってあったんですが、苦し紛れに使ってしまいました。筆者としては、尺度が違うものを比較するからおかしなことになるという文脈でもう少し突っ込むつもりだったんですがね。

まあ、そのうち、またこのネタを蒸し返すかもしれません(笑)

投稿者: miccckey (Jun 21, 2004 2:37:49 AM)

えー、正確な資料がどっかに埋まってしまっているので、記憶だけで書きますが、実験対象の人に、左右を逆像に写すゴーグルを装着して、生活を送らせたところ、たしか1週間も経たずに完全に順応したという実験がありました。上下逆像を加えても、やはり大して時間を置かずに順応した、という内容だったはず。

視覚っていい加減というか、許容範囲が広いというか。

それならいっそ、僕は魚眼の視野を持つゴーグルを装着していたい。そうすれば、誰にも視野が狭いなんて言わせないのに(苦笑)。

投稿者: DPR-Japan (Jun 21, 2004 12:55:24 PM)

>DPR-Japanさん

毎度どうも。逆説的な話はやっぱり面白いですね。

その実験と似たものををTVの民放でやってるのをこのあいだ目撃しました。順応はするのですが、今度普通の視野に戻るときにも順応が必要になるという、当ブログの筆者的に見ても非常に興味深い結果になっていました。

目や手足などの神経接続は頭の中で左右逆に交差してるので、そのゴーグルをかけてるときが「物理的に正しい」見え方だったりするのかもしれませんね。

たぶん被験者が順応するまで行動しにくかったのは、目と手足の同期が取りにくかったからじゃないかなあと思いました。手足や耳も逆に接続すれば、なんてことないのかも。

クルマのバックミラーだって本当は左右逆に映ってるんだけど、普通に認識できていますしね。

投稿者: miccckey (Jun 21, 2004 3:07:49 PM)

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